日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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特定非営利活動法人抱樸・株式会社手塚建築研究所|第2回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

「第2回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において助成が決定した団体に対し、採択直後にインタビューを実施しました。

■作品名:「希望のまちプロジェクト」
■実施事業団体:特定非営利活動法人抱樸
■設計事務所:株式会社手塚建築研究所

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「救護施設」と地域の一体化を目指した

事業の前提となっているのは「希望のまち」という町づくりです。今回は、今後の社会で必要性が増すであろう、「救護施設」という明確な目的を持つ場所が施設の核となっています。そんな“強目的的”な場所と、不特定多数の人が訪れる地域のような“弱目的的”な場所を、一体的に融合させることを目指しました。

構想を始めたのは10年ほど前のことです。社会福祉の世界では「自立支援」、そして「社会復帰」という言葉がよく使われますが、復帰したくなるような社会・地域・町づくりも並行して進める必要を感じていました。

「希望のまち」のテーマは、家族機能の社会化です。単身化が進み、機能不全に陥りつつある日本の従来の社会システムを、家族機能を町で担うことで乗り越えていくことを考えました。

自分たちのこだわりを、現場を共にすることで伝える

設計者を選ぶ決め手となったのは、手塚建築研究所、とくに手塚ご夫妻のオープンなお人柄です。素人の私たちが出した意見を一度も否定されませんでした。もちろん全てが叶うわけではありませんが、「わかりました、考えましょう」と一旦持ち帰り、次の打ち合わせで理由と結論を持って来られていました。

最初に「希望のまち」について話した時に、「共生型の森」というイメージを伝えられた時には、やはりこの人だと思わされました。

事業のイメージを共有するうえでは、まず時間をかけてお伝えすることを第一にしました。そして、一緒に炊き出しなどの現場に来ていただき、私たちが何に心血を注いできたのか直接見ていただくようにしました。救護施設とはなんぞやという点については、手塚建築研究所で相当な準備を重ねてくださったと思います。感謝しています。

お互いに思想がなければ、いいプロジェクトにはならない

私も手塚さんも想いが強く、よく話すので、どちらかが言った通りに決まるということは一切ありませんでした。手塚さんが北九州に来て、現場で議論することが多かったですね。

お互いに思想がなければ、いい建築もいいプロジェクトもできないと思うんです。今回手塚建築研究所が引き受けてくださったことで、福祉の現場や地域づくりに一石を投じられるプロジェクトになると確信しています。

(事業者インタビュー:特定非営利活動法人抱樸)


福祉施設の建築によって、社会は変えられる

建築とは、モノではなくて出来事です。建築をつくることによって社会を変えられるということが、一番ダイレクトに現れるのが福祉施設ではないでしょうか。

我々が福祉施設について相談を受ける場合、多くは「予算がないのですがどうしましょう」「何を作ったらいいんですか」という話から始まります。その場所、またはその人たちに何が必要かということを、運営される方たちと話し合いながらテーマを見つけていく。そういった仕事の仕方になっています。

過去を見ながらつくる施設だけでは社会は変わらないので、前を見て、これからどうあるべきかを考えて仕事をしていきたいですね。

出会いのきっかけは『プロフェッショナル 仕事の流儀』

東日本大震災の後、お互いがTV番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演したのを見ていたことがきっかけで、奥田先生とお会いしました。初対面で意気投合し、福岡県の「軒の教会(東八幡キリスト教会)」も一緒につくりました。

どういう施設であるべきかという話は、お互いに10年以上かけてしてきました。今回は予算と希望が合わない点などは苦労しましたが、目的は同じでしたので、すり合わせ作業は楽しくもありました。

うまくいくプロジェクトは、夢と希望からはじまる

事業者の意図を汲み取るために大切なのは、仲良くなることだと思います。人は、リストを作って話すだけでは全然伝わらないものです。私たちは、一緒にごはんを食べながらとりとめのない話をしていきました。

経験上、うまくいくプロジェクトは、夢や希望がいっぱいで雲をつかむような話からはじまっています。設計者としては、最初に「こういうものを作ってください」と、明確な形が決まっていないほうがやりやすいところはあるかもしれません。

奥田先生の場合も「こんなふうに社会を変えたい」という大前提がまずあり、それに対して何をするかというプロセスから私たちを巻き込んでくださいました。その中でいろいろなアイデアを考えることができたかと思います。お互いに、ゼロから新しいものを作り上げるんだという気持ちを持って話し合うことが大切なのでしょう。

(設計者インタビュー:株式会社手塚建築研究所)

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