日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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栃澤麻利氏(第3回 審査委員)|「未来志向の“開かれた福祉”を実現するには、建築にも変化が必要」

「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において審査委員を務めていただく栃澤麻利さんから、公募にチャレンジされるみなさまに向けてコメントを寄せていただきました。

栃澤麻利(Mari Tochizawa)
建築家/SALHAUS

1974年 埼玉県生まれ
1997年 東京理科大学理工学部建築学科卒業
1999年 同大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了
1999年〜2006年 山本理顕設計工場
2008年 SALHAUS設立、共同主宰

現在、株式会社SALHAUS 代表取締役
芝浦工業大学、東京電機大学 非常勤講師
法政大学 兼任講師

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ソフトが変わるなら、ハードとしての建築も変わるべき

私は前回(2022年/第2回公募)はじめて審査を担当し、そのプロセスの中で「みらいの福祉施設建築」とは一体何か、他の審査委員のみなさんと議論を重ねてきました。未来志向の「開かれた福祉」をどのように実現していくのか——これからソフトとしての福祉を外へと開いていくならば、ハードとしての建築も変わっていく必要があります。

しかしまだまだ、従来通りの福祉施設建築の様式から脱していないものも多いと思います。私自身、建築にはもっと大きな可能性があると考えていますので、設計者側からも積極的に「地域全体のため、そこを利用する方々のためにはもっとこんなことができますよ」と新しい提案をして、福祉事業者のみなさんと一緒にチャレンジをしていってもらえるといいですね。そのために、この助成金をうまく活用いただきたいです。

「みらいの福祉」には、建築による空間的なサポートが必要

私は現在、特別支援学校の設計に携わっています。一生懸命支援に取り組む先生と子どもたちの姿を目にして、「この子たちが成長して社会に出る未来には、必要な制度や仕組み、適切な施設が果たしてあるのだろうか?」という大きな懸念を感じるようになりました。

私自身もまだ明確な答えは持っていませんが、審査の場では、支援を必要とする人たちが少しずつ自立し、社会との接点を広げていけるような福祉のあり方について議論を続けています。

これからの福祉を支えていくためには何らかの空間的なサポートが必要であり、それは従来の建築ではカバーしきれないのではないでしょうか。2023年、第3回公募の審査をしていく中で、みらいの福祉を支える新しい建築のあり方が見えてくると非常にうれしいですね。

福祉事業者と設計者が議論を重ね、新しいチャレンジを

本プロジェクトは助成額が大きく、社会的なインパクトも強い取り組みです。福祉事業者と設計者がタッグを組んで一つのプロジェクトと向き合うことで、はじめて実現できることがきっとあるでしょう。みらいの福祉とそれを支える建築をどう作り上げていくのか、お互いにきちんと議論を重ねて提案を練っていただければと思います。

みなさまにとっても、本プロジェクトは新しいことにチャレンジできるチャンスだと思います。ぜひ従来の形に囚われずに、これまでなかなか実現できなかったアイデア、理想のあり方を前面に押し出して申請してください。それを実現するための助成金ですから。みなさんからの、意欲的な提案をお待ちしています。

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