日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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吉倉和宏氏(第3回 審査委員)|「『みらいの福祉施設建築』のあり方を考え、社会を変えていく」

「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において審査委員を務める吉倉和宏から、公募にチャレンジされるみなさまに向けたメッセージです。

吉倉和宏(Kazuhiro Yoshikura)
日本財団 常務理事

1991年、日本財団に採用。競艇学校での研修、旧運輸省への出向を経て、阪神淡路大震災復興支援の団体設立、公益事業の成果物を電子化し公開する情報公開サイトの構築、事業及び管理系業務の改革とIT化、財団のブランディング構築などを担当した。

事業面では、犯罪被害者支援制度の定着と促進、高齢者の転倒予防に関する事業の開発、船舶の技術開発や造船事業者の安全対策推進、企業との連携プロジェクトなどを担当し、経営支援グループ長、総務部長を経て2017年に常務理事に就任。現職。

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新しい福祉のあり方を、設計・デザインの力で実現

この助成事業を通して「みらいの福祉施設建築」がどうあるべきか、多くの方に理解いただくきっかけになってほしいと考えています。これまで見たことがない福祉施設が、設計やデザインの力で実現できる。それが多くの方の刺激となって、さまざまなところで別の動きが生まれたら理想的ですね。

本プロジェクトにおいては、福祉事業、施設運営の価値観や哲学がよりわかりやすく、伝わりやすくなり、関係者が一定の方向に向かうことができるようになる仕掛けを、設計・建築デザインで形にしていくことが大きなポイントだと思っています。

福祉事業者と設計者のチームワークに期待

強い思いを持つ事業者のみなさんが、どのようにその思いを実現しようとしているのか——
それを裏付ける説得力が生まれるのは言葉によるものだけではなく、これまでみなさんが積み重ねてきた取り組みもそれを支えてくれるでしょう。

その熱意ある事業者のハートを設計者が受け止め、そして現実的な「みらいの福祉施設」の設計に落とし込んでいくチームワークも見所であり、今回の公募でも大いに期待しているところです。

「何も変わらない」ではなく、未来の可能性を信じて

福祉は、さまざまな時代と共に変遷をしながら未来へとつながっていくものだと思います。ただ福祉の現場が現在、直面している実情を捉えてみると、資金の問題や人材についての課題が山積しており、さらに社会的な情勢の影響で、建築も物価高や材料費の高騰に見舞われています。

こうした壁をなかなか超えられなくなっており、日本の中でものごとが変わらない、イノベーションが起きにくい、若い人の意見が通りにくいといった閉塞感につながっていることも事実です。

しかし本プロジェクトでは、「変えられない」「変わらない」と考えるのではなく、「何かが変えられるかもしれない」「未来は明るい」と感じられるような事業の提案を期待しています。

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