社会福祉法人福祉楽団/有限会社アトリエ・ワン|第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト
「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において助成が決定した団体に対し、採択直後にインタビューを実施しました。
■作品名:「スウィートポテト・リトリート」
■実施事業団体:社会福祉法人 福祉楽団
■設計事務所:有限会社アトリエ・ワン
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障害傾向がある人の社会復帰の一歩となる就労支援を行う
以前より、私たちが運営する「恋する豚研究所」(千葉県香取市)の近くに「宿泊機能を持たせたい」「その施設を障害のある人の雇用につなげたい」という思いがあり、本プロジェクトに応募しました。
私たちは障害のある人を支援の対象としていますが、その中には、少年院や少年刑務所に以前いた人も多いです。障害傾向のある人への就労支援は、社会復帰の一歩を踏み出す後押しになります。また、再犯を防ぐことにもつながると考えているので、私たちの活動の先により良い社会があるのではないかと思っています。
設計者選定の理由は「ひとめぼれ」
アトリエ・ワンさんの建築を見て、一方的にひとめぼれをしました。私からお電話を差し上げたのが、最初の出会いになります。
本プロジェクトより以前に、複数の事業を共同で行ったことがありましたので、お互いの共通の言葉を持つことができていました。そのため、短い応募期間でも比較的進めやすかったところがあります。
福祉事業者の方々は、それぞれに熱き思いがあり、事業に取り組んでいらっしゃると思います。その思いに加え、社会的なニーズや実現したいことをただ愚直に一生懸命、建築家の方に伝えていけば、おのずと資料はできていくんじゃないかと思っています。
福祉事業者と建築家が協働する貴重な機会
本プロジェクトは、建築家と福祉事業者が共同で一つの事業提案をしていく、貴重な機会です。福祉事業者側も必要以上に臆病にならず、建築家へやりたいことを表現してもらうために大胆なアタックをしてもいいと思っています。がんばってください!
(事業者インタビュー:社会福祉法人福祉楽団)
社会課題に触れ、「これはやらねば」という強い使命感を抱いた
福祉楽団さんとの関わりは、「恋する豚研究所」を設計したのが最初でした。それまでは、就労支援A型とB型の違いも知りませんでしたし、生きにくさを抱えている人たちに対して、十分な配慮がなされていない社会であるということも十分に理解できていませんでした。いろいろ教えていただいて、私たちも「これはやらねば」という強い使命感を持ちました。
相手の考えを引き出し、共に考えるアプローチが大切
福祉事業者の方々にとって、自分の考えをわざわざ書き下すことは、時間の制約もある中で、なかなか難しいと思います。そこで、私たち建築家が根掘り葉掘り聞いて、そこにあるものを引き出していく。「それは考えていなかった」ということが相手の方から出てきたら、一緒に考える。そういったアプローチが、建築家の大事な役割としてあると思います。
それに加えて、利用者さんが毎日そこに居ることで誇りを持てる建築をつくらないといけないと思っていましたので、飯田さんからの希望を聞きながら、我々からもさまざまな提案をしていきました。
自分たちの建築で、地域と施設を隔てる壁を溶かしていく
福祉楽団さんは、地域で切れ目のないケアを提供するために、障壁となっている現在の福祉制度に対するチャレンジをされています。「まさに今、この現場で社会が変わっていくんだ」という実感を持ちながら仕事されている姿を間近で見て、熱意を感じました。
私たちの建築が地域と施設を隔てている壁を溶かして、もう少し生きやすい社会、いろいろなものがつながる社会をつくることもできるんだ、ということを肌で感じながら取り組みました。それが、他の建物を設計するケースとは大きく異なる点だったと感じます。
(設計者インタビュー:有限会社アトリエ・ワン)
※他の採択事業者のインタビューはこちらからご覧いただけます(YouTube再生リスト)
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