日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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社会福祉法人道/b.i.n木村敏建築設計事務所|第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において助成が決定した団体に対し、採択直後にインタビューを実施しました。

■作品名:「多機能型重症児者等通所施設『すまいる畑』」
■実施事業団体:社会福祉法人道
■設計事務所:b.i.n木村敏建築設計事務所


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成長した医療的ケア児と、その家族がゆったり過ごせる場所

私たちは医療的ケアを必要とする子どもたちのために、多機能型重症児者等デイサービスを含む施設「森のお家(おうち)」を運営してきました。そこでケアを受けていた子どもさんたちが成長するに従い、子どもたちやご家族の方が安心してゆっくり過ごせる新たな環境が必要だと考えるようになりました。

新しい施設を構想するにあたり、社会の中で楽しく過ごせる場にすることを目指して「食」を軸に据え、「オーベルジュ」というコンセプトをみんなで考えました。

写真集で施設の日常を共有。関係者が足並みを揃えた

設計士の木村さんは、2016年に知人の方から紹介をいただき「森のお家」の設計をお願いしました。森のお家は今でも木の香りが心地よく、温かみがあって過ごしやすい、心落ち着く建物です。今回、新しい施設をつくるにあたり、設計をお願いするのは木村さんしか考えられませんでした。本プロジェクトでも全体の舵取りをしてくださって、とても助かっています。

以前、利用者のみなさんの日常の様子を収めた事業所の写真集をつくったことがあり、木村さんにもそういったものを共有し、利用者の方やご家族の思いを知っていただくきっかけにしました。関係者がみんなで足並みを揃えて、このプロジェクトに取り組んでいくことをとても大切に考えていました。

プロジェクトへの参加が、自分たちの未来を考えるきっかけに

本プロジェクトに参加したことで、改めて、自分たちが利用者さんに対して何を提供したいのか、利用者さんたちが何を必要としているのか、この地域とどのように関わっていけるのかなど、今まで漠然と考えていたことを具体的にしていく良い機会になったと思っています。福祉事業者にとっては、このプロジェクトに参加することが、自分たちの未来を考えていくすごく良いきっかけになるのではないでしょうか。

(事業者インタビュー:社会福祉法人道)

 


 

既存の枠組みからの脱却に、新しいチャレンジの余地がある

私は設計者として木造の住宅を手がけることが多く、それと同じ感覚で医療・福祉施設を 木造でつくっていきたいと思うようになりました。これからの福祉施設が、いかにこれまでの枠組みから脱却していくかを考えていくところに、設計者としても新しい試みにチャレンジする余地がたくさんあって、わくわくする魅力を感じます。

福祉施設であることを一旦忘れ、住まいに近づけたり、いかに街に溶け込む建築にするかを考えたり——そうして、福祉施設が住宅や他の施設と同じであることを見出していく作業をしているような気がします。

「わからない」状態は健全でもある。正直に伝えて粘り強い議論を

新しい構想をお伺いしてから申請まで、約半年ほどの時間がありました。道さんがこれまで取り組んできたこと、そしてこれから実現しようとしていることをお伺いすればするほど、採択されるべきだという思いが強くなりました。

ただ、みなさんの思いにふさわしい建築のあり方がなかなか描けない時期もありました。一方で「わからない」というのは、自分の知識や価値観の外に最適な答えがあると思っている状態ですので、健全なことでもあると思います。わからないことはわからない、悩んでいることは悩んでいると正直にお伝えすることで、粘り強くさまざまな議論ができたと感じています。

さまざまな矛盾も、課題を解消するための大切な「情報」になる

建築の設計をするうえでは、一見「こんなことは関係ないだろう」と思うようなことが、後からいろいろと重要になってくる場合もあります。最初に施設のコンセプトを検討する際、さまざまな矛盾が明らかになったとしても、事業者さんの内部で折り合いをつけてから伝えてもらうことを、恐らく多くの設計者は望んでいないと思います。そうした矛盾もむしろ情報として伝えていただき、その解決方法を探る中にデザインのよりどころがあると思います。

(設計者インタビュー:b.i.n木村敏建築設計事務所)

 


 

※他の採択事業者のインタビューはこちらからご覧いただけます(YouTube再生リスト)

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