日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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社会福祉法人優樹福祉会/有限会社辺見設計|第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において助成が決定した団体に対し、採択直後にインタビューを実施しました。

■作品名:「みんなのまち-地域と福祉の日常的な関わりをつくるプラットフォーム-」
■実施事業団体:社会福祉法人優樹福祉会
■設計事務所:有限会社辺見設計


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さまざまな場がつながった「食のプラットフォーム」を目指す

自分たちが地域に対してどんなことができるのか、利用される方の未来をどう考えていくのか——その人らしく生きるために何が必要か、迷って悩んでもがいてようやく掴んだのが、地域と福祉の日常的な関わりをつくる「食のプラットフォーム」というコンセプトでした。

就労支援B型施設がゆるやかに生活介護事業所とつながり、さまざまな体験ができる場となり、ひいてはそれが働く場所になっていきます。職員を含むプロジェクトメンバーが意見を出し合い、考えていきました。

会社としての指針に共感し、地元の設計事務所に依頼

辺見設計さんは、もともと同じ市内で活躍されていることを知っていました。会社として掲げている指針が私たちの考える「みらいの福祉施設」の理想像と一致したため、今回のプロジェクトに着手した2021年にはじめてお声がけしました。

まずは事業について知っていただくため、施設に来所いただき現場で働く職員の声を聞いていただきました。定期的にミーティングを重ね、私たちが目指すイメージを伝えていきました。

3回目の正直で採択へ。事業について考える良い機会になった

私たちは今回、3度目のチャレンジで採択いただきました。1回目は1次審査を通らず、2回目は最終審査までいったものの不採択となり、3年の間に何度も心が折れそうになりました。周りの職員、そして辺見設計のみなさんに助けられながら、なんとかここまで進むことができました。

ただ不採択になったときも、地域との関わり方を改めて考える良いきっかけとなり、多くの気づきを得ることができました。自分たちの事業には何が足りていないのか、設計者と協働するとどのようなことができるのか、そうしたことを学べる良い機会でもあると思います。みなさんも最後まで諦めず、ぜひチャレンジしてみてください。

(事業者インタビュー:社会福祉法人優樹福祉会)

 


 

多様な立場の方が利用する福祉施設の設計は、魅力ある仕事

辺見設計ではこれまで、さまざまな福祉施設の設計に携わってきました。福祉施設は非常に多様な立場の方が利用するので、そのすべての方が利用しやすい快適な空間、そして環境をいかにつくるかを考えることが、設計の仕事としての魅力でもあると考えています。

今回は施設のみならず、「みんなのまち」をつくることを提案させてもらいました。地域の歴史を現代に受け継ぐため、「共楽」の思想を施設に組み込んでいます。入所する方々、職員のみなさんだけではなく、周辺の地域で暮らす方々も含め、多様な世代の方々が訪れる空間をつくることが、今回の計画では重要になると考えていました。

事業プランを3年かけてブラッシュアップし続けた

我々のチームは第1回目(2021年)のプロポーザルから参加しており、毎年申請を行うために提案内容をブラッシュアップし続けてきました。3年という時間を、プロジェクトの準備にかけてきたことになります。

優樹福祉会さんが目指すビジョン、理念がどういうものなのかを常に共有してもらい、私たちが建築という手段をつかってそれらをどう実現していくのか、運用面での問題点を建築で解決できる方法がないか、お互いにやり取りしながら進めてきました。そうしたコミュニケーションをいかに取るかが非常に難しいところでもあり、面白いところでもあります。

同じビジョンを共有し、共に同じゴールを目指すことが大切

私たちは類似施設や先進事例を一緒に視察したりすることによって、合意形成を図れるようプロジェクトを進めてきました。やはり福祉事業者と設計事務所、お互いに異なる立場にあるメンバーが、同じビジョンを共有し、それを目指していくことが大切です。ビジョンを達成するため、建築的な手法と、福祉施設としての運用に関する手法を整理しながら進めていくことがとても重要だと考えます。

(設計者インタビュー:有限会社辺見設計)

 


 

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