日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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篠原聡子氏(第4回 審査委員長)|「建築のあり方で、地域と福祉施設の共生を後押しする」

「第4回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において審査委員長を務めていただく篠原聡子さんから、公募にチャレンジされるみなさまに向けてコメントを寄せていただきました。

篠原聡子(Satoko Shinohara)
建築家/空間研究所/日本女子大学 学長

1958年千葉県生まれ。1981年日本女子大学家政学部住居学科卒業。日本女子大学大学院修了後、香山アトリエを経て、空間研究所主宰。
1997年から日本女子大学で教鞭を執り、現在、日本女子大学建築デザイン学部建築デザイン学科教授。2020年5月より同大学学長。研究分野は、建築設計・住居計画。
主な作品は、RIGATO F(1998、東京建築士会住宅建築賞2000)、大阪府営泉大津なぎさ住宅(1999)、ヌーヴェル赤羽台3,4号棟(B1街区)(2010、グッドデザイン賞2012)、竹内医院(2010、千葉県建築文化賞2011)、日本女子大学附属豊明幼稚園(2011)、SHARE yaraicho(2012、住まいの環境デザイン・アワード環境デザイン最優秀賞2013、日本建築学会賞[作品]2014)、SHAREtenjincho(2021)など。
著書に、『変わる家族と変わる住まい』(共編著、彰国社、2002年)『住まいの境界を読む 新版』(彰国社、2008)、『おひとりハウス』(家を伝える本シリーズ、平凡社、2011)『アジアン・コモンズ』(平凡社、2021)などがある。

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地域と福祉施設が共生することを目指して

近代の建築は、住宅・病院・高齢者施設など、それぞれが機能ごとにわかれたことでダイバーシティを排除する方向に進んできました。しかし、高齢者の方もハンディキャップをお持ちの方も、本来は地域の中で共生することができます。「施設」と名のつく場所も、人々の「住まい」の延長にあるものです。これまで機能ごとにわかれていた境界線を越えて、双方向に関り合うために、建築のあり方がとても大きな役割を担うと考えています。

「住まう」とは、場所と人の精神を結ぶこと

私が育った田舎のように、生まれた場所でずっと暮らすことは、最近ではほとんどありません。その前提に立つと、暮らし方や時間軸の長短など、さまざまな「住まう」が現代にはあるはずです。「住まう」とは、その場所とそこで暮らす人の精神が密接な関係を結ぶことだと思います。施設や病院なども含め、これまでよりもっと広い範囲のものを「住まい」としてつくるべきではないでしょうか。

新しい扉を開くきっかけに

多くの福祉施設は経済的な課題を抱えていることが多く、高い志があったとしてもその思いを現実にすることが難しい状況にあると思います。申請される方々にとって、本プロジェクトが新しい扉を開くような体験になってほしいです。福祉施設が住まいに一歩近づく、地域にある一つのコミュニティを変える、そんな提案が出てくることを期待しています。たくさんの申請をお待ちしています。

 


 

※第4回 審査委員からのメッセージ動画はこちらからもご覧いただけます(YouTube再生リスト)

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