秋山正子氏(第4回 審査委員)|「必要なのは、自分の力を取り戻すための空間づくり」
「第4回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」において審査委員を務めていただく秋山正子さんから、公募にチャレンジされるみなさまに向けてコメントを寄せていただきました。
秋山 正子(Masako Akiyama)
認定NPO法人マギーズ東京 センター長/ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長
1950年 秋田県生まれ
1973年 聖路加看護大学(聖路加国際大学)卒業 看護師・保健師・助産師
1992年 東京都新宿区で訪問看護を開始し、主に在宅ホスピス活動に専念
2001年 母体法人解散に伴い起業し、同一地区で訪問看護を継続
2010年 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に訪問看護師として取り上げられる
2011年 学校に保健室があるように街の中にも保健室をと「暮らしの保健室」を開設
2015年 看護小規模多機能型居宅介護「坂町ミモザの家」開設
2016年 江東区豊洲に英国発祥のマギーズセンターを日本の最初の施設としてオープン
2019年 第47回フローレンスナイチンゲール記章受章
2022年~2023年 日本医療福祉建築協会(JIHa)建築賞選考委員
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病人であっても一人の人間に戻れる空間を運営
「マギーズキャンサーケアリングセンター(略称:マギーズセンター)」は、「病人であっても、一人の人間に戻れる空間」を基本的な考え方として、1996年にイギリスで生まれた新しいかたちのがん相談支援センターです。現在、世界で27ヶ所のセンターが建てられており、日本では2016年に、マギーズセンター東京が第一号としてつくられました。当センターは、日の光をたっぷり入れたり、体に優しい木をふんだんに使ったり、その他クッションの色やトイレの位置まで気を配ったりしながら、環境を整えていくことをとても大事にしています。
多様な人たちが暮らす場所では、建物も味方をしてくれる
昔は福祉施設を新たに建築するとなると反対運動が起こってしまい、町はずれや山奥といった、人々の暮らしから遠く離れた場所に施設が追いやられる時代がありました。多様な人々が地域の中で一緒に暮らすためには、建物も味方をしてくれるという考え方が必要だと思います。地域に暮らす人が気軽に訪れられるオープンな空間を設けるなど、多世代の方々が行き来ができる建築を期待しています。
その人自身が、自分の力を取り戻す場所を目指して
マギーズ東京では、センターを訪れるお一人ずつとしっかりと向き合ってお話を聞きながら、その人自身が自分の力を取り戻していくことをコンセプトとして掲げています。全国から当センターの見学にたくさんの方がお越しになりますので、「地元にマギーズセンターのような施設を建てたい」とお考えになる方が多いことを感じております。
本プロジェクトに申請されるみなさんにとって、本当につくりたいと思う建築であると同時に、利用する方々が行き交い、楽しく人生を謳歌できる、そんな建物が企画運営されることを期待しております。たくさんの申請をお待ちしております。
※第4回 審査委員からのメッセージ動画はこちらからもご覧いただけます(YouTube再生リスト)
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