日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト 特別企画

日本財団 福祉のデザイン学生コンペ|第3回募集期間 2023年7/10(月)-9/4(月)

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特集

審査委員のインタビューや過去の公開審査会などさまざまな内容の動画や記事をアップしていきます。

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開催概要

名称

第3回 日本財団 福祉のデザイン学生コンペ

テーマ

日常のある福祉「施設」

「施設」では、利用者や患者はこれまで過ごしてきた日常から突然切り離されます。施設で過ごす怖さや不安は、医学的なことももちろんあるのですが、それと同じように日常からの断絶にも大きな不安があるのだと思います。これまでの生活と地続きになるような福祉「施設」は考えられないか。もしかするとそれは「すまい」に近いのかもしれません。

一方で、私たちがずっと続けていきたい日常とは何なのか。福祉施設のこれからを考えることは、福祉施設に入る前の日常を考えることでもあります。当たり前にある豊かさを見つめ直し、人間が生きることを最期まで支える日常のある福祉「施設」を提案してください。

このコンペでは、面白さやユニークであることを求めていません。みなさんにとって難しいことは、認知症や障害といった自分自身にとって実感のない苦しさを引き受けることです。ホスピスやデイサービスを設計した僕も、末期癌や認知症になったことはないし、眼だって見える。当事者やその家族たちを「想像」し、もし続けていきたい日常がなければ「創造」しなければなりません。みなさんの持っている二つの「そうぞう」力をつかって、人々にとって変わらないものであり続ける建築がつくる、福祉のみらいを示してください。

(出題:山﨑健太郎/審査委員)

賞金

賞金総額 90万円
最優秀賞 1点 50万円
優秀賞  1点 25万円
入選   3点 各5万円

スケジュール

登録期間
2023年7月10日(月)~2023年9月4日(月)

作品応募締切日
2023年9月4日(月)
※応募作品の送付および持参は受け付けません

1次審査結果発表
2023年10月下旬(予定)

2次審査・公開審査会・表彰式
2023年11月10日(金)
13:00 二次審査(公開審査)
16:30 表彰式
※2次審査(公開審査)後に表彰を行うとともに、公式サイト(本ページ)にて入賞結果を発表します

募集概要

応募資格

応募登録期間(2023年7月10日~9月4日)時点で、日本国内の大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校(各種学校)、高等学校、等に在籍する学生であること。(グループで応募する場合も全員該当すること)

応募登録方法

1. 下記Webサイトより応募登録をしてください。
https://kenchiku.co.jp/compe/cmp20230620-10.html
登録にはWebサイト「KENCHIKU」のIDとパスワードが必要となります。登録を希望する方は事前に「KENCHIKU」会員登録を行ってください。

2. コンペ応募登録完了後、登録完了のメールが登録者に送られます。
登録完了メールに添付されている登録番号は作品応募に際し必要となりますので、紛失しないよう記録・保存してください。

3. 同一登録番号で3点まで作品応募が可能です。その場合は作品ごとに登録してください。

作品提出

A2サイズ(420mm×594mm)片面ヨコ使い1枚をPDFデータに変換して提出してください。提出する資料には、提案したい意図をわかりやすく表現した内容の図や説明文等を入れてください。内容や表現方法は自由とします。ただし、平面図・立面図・断面図(各図面の縮尺は自由)を入れてください。
※PDFデータのファイルサイズは5MB以内を厳守してください。PDF変換時の文字化けやデータ破損には気をつけてください。

質疑応答

課題に関する質疑応答は行いません。
また規定外の問題についての判断は応募者の自由裁量とします。

注意事項

1. 応募に際しての注意
応募者は、応募作品の一部あるいは全部が第三者の権利(知的財産権や著作権等)を侵害していないことを確認した上で、応募作品を提出するものとします。特に雑誌、書籍、Web等の著作物から無断複写した画像等は使用を禁じます。尚、第三者から応募作品について権利侵害、損害賠償等の苦情・クレームがあった場合は、全て応募者自らの責任と費用負担で問題解決するものとし、主催者は一切の責任と負担を負わないものとします。また、コンペティションの応募条件・審査方法・日程等は、社会環境・災害・疫病等の影響で変更する場合があります。変更の際は、公式Webサイトにて更新情報を配信いたします。

2. 応募作品について
応募作品は、国内外を問わず公表または他設計競技へ提出していないオリジナル作品に限ります。また同一の応募作品を他設計競技へ二重応募することも禁じます。他設計競技の範囲(卒業設計等を含めるか否か)については、審査委員の判断によるものとします。
※上記1・2にあるような違反事項(第三者の権利を侵害したことが判明した場合および二重応募等が判明した場合)に抵触した場合は主催者の判断により、受賞発表後であっても入賞を取り消す場合があります。

3. 個人情報について
作品応募にあたりご提供頂きました個人情報は、主催者および運営事務局が適切に管理し、応募者の承諾なしに第三者に開示・提供することはありません。

審査について

審査委員

審査

審査は1次審査(審査委員による書類審査)、2次審査(公開審査)の二段階方式で行います。

1次審査(審査委員による書類審査)
全応募作品を対象に書類審査し、1次審査通過作品を選出します。1次審査通過者には事務局より直接ご連絡するとともに、公式サイト(本ページ )で1次審査通過者を発表します。

【1次選考通過者(敬称略)】
◎登録No.NFCS0059
■代表者
宮澤諒(ミヤザワ リョウ)法政大学大学院
■作品名
テーブルみたいな福祉施設

◎登録No.NFCS0060
■代表者
小山咲紀子(コヤマ サキコ)信州大学
■共同制作者
永井志保(ナガイ シホ)信州大学
■作品名
郷生ー診察とお茶会とおしゃべりとー

◎登録No.NFCS0062
■代表者
大竹健生(オオタケ ケンセイ)佐賀大学大学院
■共同制作者
島渕滝平(シマフチ リョウヘイ)佐賀大学大学院
■作品名
「島に住む」身体障害者福祉

◎登録No.NFCS0068
■代表者
松井優磨(マツイ ユウマ)早稲田大学大学院
■作品名
五感をめぐるまちのシークエンス -社会との距離感を探る介護のケアライン-

◎登録No.NFCS0081
■代表者
北林栞(キタバヤシ シオリ)東京理科大学大学院
■作品名
混色する小さなせかい~横浜市黄金町の障がい者表現支援施設~

2次審査(公開審査)
1次審査通過作品による公開審査会を行います。発表者はプレゼンテーション(3分)および審査委員との質疑応答(7分)を行い、全グループの発表・質疑応答が終了した後、入賞作品を決定します。発表者には、公開審査会でのプレゼンテーション用データを準備していただきます。また、2次審査当日に模型の持ち込みを可とします。
※詳細については、1次審査通過時に発表者へご連絡します。
※なお、審査会の模様を収録した動画を後日、公開いたします。

結果発表

最優秀賞

◎登録No.NFCS0060
■代表者
小山咲紀子(コヤマ サキコ)信州大学
■共同制作者
永井志保(ナガイ シホ)信州大学
■作品名
郷生ー診察とお茶会とおしゃべりとー

優秀賞

◎登録No.NFCS0081
■代表者
北林栞(キタバヤシ シオリ)東京理科大学大学院
■作品名
混色する小さなせかい~横浜市黄金町の障がい者表現支援施設~

入選

◎登録No.NFCS0059
■代表者
宮澤諒(ミヤザワ リョウ)法政大学大学院
■作品名
テーブルみたいな福祉施設

◎登録No.NFCS0062
■代表者
大竹健生(オオタケ ケンセイ)佐賀大学大学院
■共同制作者
島渕滝平(シマフチ リョウヘイ)佐賀大学大学院
■作品名
「島に住む」身体障害者福祉

◎登録No.NFCS0068
■代表者
松井優磨(マツイ ユウマ)早稲田大学大学院
■作品名
五感をめぐるまちのシークエンス -社会との距離感を探る介護のケアライン-

選外佳作(山﨑賞)

◎登録No.NFCS0092
■代表者
杉山悠力(スギヤマ ユウリ)日本大学大学院
■共同制作者
菅澤梨乃(スガサワ リノ)日本大学大学院
■作品名
みんなのよりどころ

選外佳作(冨永賞)

◎登録No.NFCS0035
■代表者
竹原佑輔(タケハラ ユウスケ)法政大学
■作品名
個性と住まう 知的障害が生む”個性”と向き合うための非言語的コミュニケーション空間からなる住空間の提案

選外佳作(日本財団賞)

◎登録No.NFCS0056
■代表者
藤井幹太(フジイ カンタ)近畿大学
■作品名
福祉を解す

 

 

審査委員による総評

山﨑健太郎委員

このデザインコンペは、まさに建築や空間がその人の暮らしや生き方に何ができるのかを考える場になった。私たちが仕事で向き合わなくてはいけない事業主や制度などがないデザインコンペだからこそ、提案者の建築に対する考えがよく現れていたように思う。提案に対して総じて言えることは、作者が場所性や空間性を汲み取りながら、ある種の「空気感」を示そうとしていた点である。空気感とは、空間の密度や人との距離感といった空間の輪郭を柔らかく規定しながら、そこで生まれる音や匂いなどを含めた暮らしの総体のようなものなのだが、優れた提案には、社会や人間に共感する力に加えて空気感をつくり出す力があったのではないか。デザインコンペという場ではあったものの、近代がすくい損ねた「人が安心して老いていける場所」について、車座になって言葉を交わすことができた。審査する側とされる側ではなく、皆がお互いを同志のように感じていたことも付け加えておきたい。

冨永美保委員

地域や環境そのものから福祉の場を問い直す提案が多く集まり、もはや「施設」にはとどまらない、より大きな範囲での生活や人間を考える議論の時間がありました。その中で、私が特に心を打たれたのは、「自分自身が、当事者としてそこに居続けることができそう」と思えた提案です。福祉としてのサービスや機能の充実よりも、日々、誰かの何かのためになりながら、その場所に身を置いてもいいかもしれないと信じられるような提案に魅力を感じました。
建築や他者からの一方的なケア(「なんでもしてあげるよ」という構え)を受けていると感じるのは、なんとなくずっと居心地が悪いと思うんです。福祉建築って、悪意なく、ともすればそういう状況をすぐに生んでしまう。建築と人間の営み。福祉には、その双方のかけ算が必要です。そこに居る誰もが、その環境の一部になって、前向きなサイクルが生んでいくような、ある意味、環境化するみたいなところを提示しているような提案が、とても魅力的に思えました。

福田英夫委員

デザインのチカラで「福祉」の概念やイメージを変えようとするアイデアが集まった。日常生活から切り離される「福祉」に疑問を感じ、人が集まる空間をデザインする提案。あるいは福祉を感じさせない福祉があるべき社会の姿ではないか、と既存のコミュニティに手を加えることで福祉施設と街との境界を開放する提案。いずれも丹念に地域住民や福祉関係者との対話を重ねて提案された作品ばかりであった。
そんななかで印象的だったのが、「してあげる」福祉という発言。ケアする人とされる人の間に存在する「してあげる」「してもらう」という関係に違和感を覚えたのであろう。本コンペの課題文に記述されていた「日常から突然切り離される」「日常のある福祉施設」と現実を突き合わせたときに見えてきた課題。これからの福祉はどうあるべきなのか。地域に開くとはー。
既存の概念や制度を打ち壊し、未来への提案として若い世代が福祉について意見を交わす本コンペに、「福祉」を変える胎動を感じた。

痛みも、希望も、未来も、共に。